広縁とは、広い縁側のこと。縁側同様、外の庭と内の座敷を繋ぐ空間。設計の場合、かなり早い段階で姿を消す部屋です。
我が家は25坪の平屋で、南のこの 広縁 ( 幅1820mm・畳3枚 )のおかげで、ほかの部屋にかなりしわ寄せがいきました。
お客様に、「どうして広縁がいるの?」と聞かれると、この説明がまた困る。
我が家の広縁は何に使かっているかというと、まずはおっさまや大切なお客様を座敷に通す入口。
冬の晴れた日には、必ず誰かがここにいる。 布団を干していると子供たちの遊び場となり、大人も一緒に昼寝したり、お茶をよばれたりお菓子をつまんだり、本を読んだり景色を眺めたり。
軒は長いですが、ポカポカ陽気が恋しい季節には、部屋の奥まで日が差し込む。 寒い季節の昼下がり、最高値に達する 「 南の広縁 」 。
夏、エアコンのない我が家では、いくら軒が出ていても日が沈むまでは暑い広縁。
強い日差しを和らげ、北からの風の通り道となる 「 南の広縁 」 。 おかげで、奥の座敷が心地いい。
雨の日には洗濯や布団を干したり、夕暮れから夜にかけては月やホタルを眺めて一杯やったり、網戸でそのまま寝たり。
春秋は、その間。言葉では伝えにくいが、 「 広縁のある暮らし 」 をしていると、なくても暮らせるが出来れば最初に計画したい部屋。
広縁を、贅沢で無駄な部屋と感じるか、小さな遊びの部屋と感じるか・・・。
何事も あそびと無駄は紙一重 。
>>> 私の家(民家再生)