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「道の家」のお施主様は、かわいいお子様とお若いご夫婦。 当初からのご希望は、無垢の木で囲まれた家族の部屋(LDK)と、小窓がついた屋根裏(子供部屋)、一言で「木の家」がほしいとのこと。 あとは水野設計室の感性におまかせでした。
ある程度プランが決まった時点で、とにかく木を使うこと、予算が限られていること、お施主様で特に工事会社が決まっていないことを考えて、「道の家」では入札ではなく、材木から自社でされている工務店を一社絞って進めることになりました。 お施主様と工務店の仕事を見比べながら、「道の家」に合った工務店を探し、直接会いに行き、1月に工事会社を決めました。
その後、工事会社と特に材木について打ち合わせをして、予算を抑えつつ楽しい図面が完成。本日、図面を工事会社に提出。
次は、見積もりが出来たら図面の修正をして、工事金額を決定して、6月には工事がスタート予定。
工事会社は岡崎製材所。 八百津の材木屋さん、2010年には中部建築賞受賞。
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今日は雨の中、信州へ。 築100年を経過した蔵(土蔵)を、再生して暮らしておられる蔵人の家を見学に。
1つ目の家は、10年前に移築された家。 写真は2Fの様子。手前の部屋は子供たちのたまり場(?)、奥の部屋は子供部屋で隅には薪ストーブの煙突、天井には堂々とした小屋組み。 床は檜の板張り、天井には2重に断熱材(ウール?)、壁は竹小舞から土塗りまでご自分で作業されたとのことで、とても味のある仕上がりでした、もちろん土壁には断熱材は入っていません。窓はペアガラス。 めっちゃビックらこいたことが、暖房機器が薪ストーブしかないこと、ここは長野県松本市・・・。 天井以外は木と土、延床面積は約38坪。10年暮らしていらっしゃるので、思っている以上に天井の断熱材を入れれば、土壁でも冬は大丈夫なんですね。 たしかに家の中は木や土のぬくもりを感じましたし、また今日は大雨でしたが家の中はカラッとしていた。土壁や無垢の木の調湿性能・断熱性能は、やっぱり良いと感じました。 書いていいものかわかりませんが、予算は2000万円とのこと。再生前の蔵と解体費と輸送費が300万、基礎と建て方と屋根(ガルバ)で1000万弱、他はサッシや設備や木工事・・・、土壁の原料(土・竹)も再利用されたとのこと。
ご夫婦にそれぞれお話をお聞きした所、ご主人はほぼやりたいことができて大満足とのこと。 10年経過した現在も家づくりは進行中で、家族の成長や暮らしに合わせて、いろいろ考えて家を造り続けて行くことが楽しいとお話していました。 奥さまの不満は一つ、収納が少ないこと。 それ以外は不満もなく、近所の子供たちが集まるこの家で良かったとお話されていました。 もし予算がもう少しあれば、何をしましたかとお聞きすると、お二人とも口をそろえて「職人の技術」にお金をかけたかったとのお答えでした。
2つ目の家は、3年前に現地再生された蔵。 写真は1Fの様子。 蔵の扉から入って正面にテーブル(作業机)、右奥がキッチン、右手前には2Fに上がる階段箪笥、左奥がトイレ・バスルーム、見えないですが左に赤のアンコール。 時間を感じさせる無垢の木々、窓は小さく板張りの壁に囲まれて、照明は蛍光灯は一つもなく全て目線より下に白熱電球、明らかに意識して計画された空間です。 この蔵は再生するにあたって、やはり基礎が問題だったようで、土壁をとらずに蔵を持ち上げて基礎をやり直したそうです。基礎工事は、おそらく坪20万円かかったとして、600万円ぐらいだと思います。ユニットバス以外に既製品はほとんどなく、窓枠も家具も造り付け、細かい所までこだわった跡が見られました。
日本の古い蔵で、世界中の古いものに囲まれて暮らすオーナー、今後の改装計画を楽しそうにお話されていました。
今回のこの企画では、遠い所からも多くの人が集まり、特に現在使用していない蔵を何とか残したいとお考えの方が多かったです。 私も、寒い地方の民家を見学させてもらえて、いろんな立場の方のお話をうかがえて、大変参考になりました。 私の地域にも蔵はまだ残っていますが、使われているものは少なく、壊されるか朽ち果てるのを待っている蔵がほとんどです。日本の田舎には、蔵のある風景を残していきたいものです。昔のように利用できなくても、今の建物とは比べようのない100年200年と持つ蔵を、何かに利用して残す方法を考え、お手伝い出来ればと思いました。以上。
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約20坪(6間・3.5間)の小さな農家です。 構造材はほとんどが古材で、移築して建てられていました。 葺き替えていない瓦を見る限り、おそらく移築後100年は経過していると思います。 持ち主(70代)だった方に聞いたところ、いつ建てられたかは不明。南側の建具をサッシに変えた事の他は、子供のころから何も変わっていないとのこと。40年前に大屋根の瓦を無理をお願いして葺き替えたとのことで、雨漏りはありませんでした。 約20年使用されておらず、風呂・便所(汲み取り)は別棟。
敷地は、家の北側(北は上)には畑、東側には風呂・小屋・便所・はなれ、南側は庭、西側は道路。 特に北側と東側は、家よりも地盤が高くなっており、家の水はけは悪く、雨の後は家の周りが水たまり。 軒下には物が放置されたままで床下は風の通りが悪い。 基礎は小さな玉石、土台は腐食している部分が多く、ずれている束が数か所ある。 建具の建てつけが悪く、柱と土壁との間から光が洩れており、明らかに地盤の不同沈下により傾いている。 幸いにも、今まで災害に耐えてこられたのは、平屋20坪という規模だったからと思います。
初めてこの家に入った時、戸は締め切ってあり真っ暗で、懐かしいカビ臭い古い家の匂いがしました。 奥の部屋をよく見ると、各部屋に裸電球がぶら下がっており、座敷に上がろうと思いましたが、足の踏み場がありませんでした。 上を見ると、天井の明りとりからの光で、土間の吹き抜けの立派な小屋組みがうっすら見えました。
暇があれば掃除をして、やっと家の中のものをすべて出し、戸を開け放って、間取りを調べました。 まず残念だったことは、柱や梁そして土壁や建具には、べったりとペンキが塗られていたことです。 次に驚いたことは、上座敷の縁側と納戸の廊下は移築後に改装されていました。 その仕事の跡を見ると、明らかに職人の仕事ではなく、素人の仕事でした。 おそらくご主人自らで、柱を立て敷居と鴨居をつけて小壁をぬって障子を入れて、寒さをしのいだんだと思います。 他にも欄間を小壁に変えたり、水屋の隙間をはじめ家中の隙間に、糊で紙が貼られていました。 また、雨どいや生活排水・雨水の排水工事も、ほとんどの事はご主人自らで作業をされていました。
隣に住んでいる90歳のおじいちゃんにこの農家の事を聞いたところ、「わしが小さいころからボロかった」とのこと・・・。ただ、「このイモグラはものすごく評判が良かった」とイモグラ絶賛でした・・・。
将来的にこの農家を残す事、またはここで安全に暮らすことを考えると、費用はかかりますが基礎と屋根のやり直しは不可欠と思う。( 費用について:水野設計室の過去手がけてきた再生物件の平均費用は、基礎20万円/坪 屋根7万円/坪、今と同じ設備をいれると新築とほぼ同じ費用となります。仮に家が2階建てで広すぎる場合は、平屋に改装する事でずいぶん費用を抑えることができます。) しかし、昔の良質な木材、昔の職人の手仕事、そして何より代え難いこの数百年の時間を生きた家には、その価値が十分あると感じる。 今も手間をかけて造られた古い家が捨てられ、工業化・合理化・商品化された新しい家が次々と作られているが、果たして新しい家が間取りも含めて古い家よりも長く生き続け良いものであるのか、考えてしまう事がある。
「家のつくりようは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、耐えがたき事なり」
これは吉田兼好の徒然草の一節、日本での暮らしを実に上手く言い表した言葉だと思います。
この農家なら、水道もしくは井戸(と電気)があれば、薪炊き風呂に竈に囲炉裏を作って、十分季節と遊びながら暮らせるなぁと思いました。
とりあえず暑くなる前に、家の風通しを良くして、地盤の水はけを改善する方法を考えることにします。で、おじいちゃん絶賛のイモグラにいれるサツマイモをいっぱい作ります。
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田んぼの中、去年の藁も残ったまま、草も伸びてきた。 この時期に悩ましいのが、草刈りや田起こしのタイミング。 もちろん回数は少なくしたいけど、ご近所さんの目もあるし、草が大きくなると時間もかかるし。 さて、いつやろう・・・。
今晩は、旧3月の雨の満月。 新暦の4月20日は穀雨 ( 種まきの済んだ田畑を潤す穏やかな春の雨が降る頃。恵みの雨に野山の草木の成長も加速される ) 、おそらく今晩の雨で草の勢いは増すでしょう。 しかし明日からは下り月、植物の活動はおちつくかもしれない。 旧暦では、4月からが夏。今年は新5月3日が旧4月1日、新暦5月2日は八十八夜 (遅霜注意の日) 。 新旧で気象庁のデータを調べても、いまいちしっくりこないし。 さて、今やるか。 GWまでひっぱるか。 草刈りだけはやっとこうか・・・。
その前に、田植えのなど作業の予定日も確定しないといけませんね。
ということで、作戦練り直し。知識をしっかり詰め込んで、出来るだけ大胆に・・・、こりゃ時間が足りん。
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震災直後に 格付け会社 MOODY`S は、日本の格付け( CDS Implide-Rating )をA3からBaa2へ2段階引き下げをした。一般的に報道されているSenior Rating はAa2 。 デリバティブの世界では、現物の世界より7段階下の格付けです。 すでに、デリバティブの世界では、中国・トルコを下回り、タイ・メキシコ・ブラジル・南アに並んだ。 震災直後急上昇した日本のソブリンCDSも未だ高水準。債務超過となった日本の財政。この格付けが意味するのは、この先に日本国債売りによる、悪い金利上昇が起こるかもしれない。
震災後、予想外にスムーズに合意された10年ぶりの各国協調介入。 米国は、下がり続ける住宅価格と、ほとんど先送りにしている金融機関の問題を抱えながら、さらに財政再建(米国債の追加発行)の為の予算審議を前に、ドル下落を防ぎたかったのか。 欧州では、ポルトガルへの救済が決まりギリシア・アイルランドに続きポルトガルの国債も大幅に売られている。次に、リスクマネーが向かう先は、勿論スペイン。救済する側にいたスペインを、救済することなるかもしれない欧州にとっても、ユーロの下落は好ましくない。日本としては、急激な円高を止める事には成功した。 しかし数年前より火がついた資源ナショナリズムの流れは続き、原子力問題露呈以降に火力発電用の燃料が上昇。 日本は今後も、天然ガス・石炭・石油・その他多くの資源・食料を輸入に頼り、新興国の輸出拡大と各国のナショナリズムとの間で輸出をしていかなければならない。 過去、歴史的転換点となってきた協調介入が意味するのは、貿易が赤字に近づく日本にとって悪い円安が起こるかもしれない。
そして震災後のGDPと株。コンピューターによるリスクマネーに牛耳られた株式市場。わずか3日で株価は2割変動。 まずは5月の決算発表での見通し、順次発表されてくる統計で具体的数字がでてくるが、1990年以降ほとんど横ばいのGDPが下振れする可能性。
今、日本にとって最も避けて通らなければならない道、「 トリプル安 (株・債券・為替)」 の予兆が現れはじめた。
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大理石張りの現場です。
自然の素材で仕上げる壁といえば、木や石・漆喰・・・。 特に石は存在感が強く、中でも大理石の高級感はいいものですね。
大理石のアプローチを進むと、 その先には大きな銅板の扉、 内部に一歩足を踏み入れ・・・。
この建物は、岐阜県可児市のレストラン オーベルジュ・ドュ・リリアーヌ 。
この時期は少し早い時間に予約を入れて、沈む夕日を眺めながら、シェフおまかせの素敵なディナーがおすすめです。
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本日は、旧三月三日の雛祭。屋根の上に見えるのは、満開の桃。玄関には、3分咲きの桜。 旧暦通りに季節は動いている。
季節の行事は旧暦で。今日は家族で雛人形を並べ、自然の桃を飾り、娘たちの健やかな成長を祈って、祝いのご馳走を頂きました。 まだ肌寒く桃が咲いていない新暦3月3日より、ポカポカ陽気の旧暦3月3日の方が、雛祭日和。
次の季節の行事は、旧五月五日の端午の節句(菖蒲節句)。 新暦では6月6日。 ちょうど入梅の頃かな。予定では田植えの頃。 妹夫婦と弟夫婦を誘って、みんなで甥っこのお祝いついでに、田植えを手伝ってもらおうか・・・。
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「風土千年 風景百年 景観十年」 景観は10年で生まれ、100年経過して風景となる。さらに風土となるまでに1000年の時を要する。
私が12年ぶりにここ(八百津町錦織)に戻って以降、頭から離れない言葉の一つです。自然が残るこの田舎の集落で、家に関わる仕事に携わり、偶然が重なって始めた稲作・畑をしながら、両親や子供たち家族との古い家での暮らし。暮らしの中で様々ことを感じ、随分考え方が変わりました。特に劇的に感じたことは、季節(自然)に従った暮らしの素晴らしさ。そして季節と遊ぶ楽しさ。
現代の暮らしで感じるのは難しくなりましたが、人は季節(自然)に逆らっては生きていけない。生きていく為には季節(自然)に従う。 すると意図しなくても暮らしに持続的な循環が生まれ、(衣)食住とが深く関わり合う暮らしとなり、風土を生かして残すことができる。 そして、何より一年を通して季節を楽しむという最高の遊びを覚えることができる。 旧暦をみると同じ一年は二度と来ない。
今の時点で、私がたどり着いた答えは 「物事は楽しくないと継続しない、古くから続く昔の暮らしは、間違いなく楽しいはず・・・」。
ということで・・・、実践あるのみ。 この一軒の農家を、改装でもなく復元でもなく、生きた農家としての再生を始めることにしました。 目的は、季節と遊ぶ事。 長い時間をかけて育まれた風景を守る事。 そして、未来の子供たちに生きた昔の暮らしを残す事。
今後、この農家で「季節と遊ぶ」をテーマに家の再生作業や農作業や催しを通して、人との出会いに繋がればといいなと思ってます。 尚、事前にご連絡を頂ければ、どなた様でも見学・お手伝い大歓迎です。 特に、古い民家を残したいと考えている方の参考として頂け、一つでも多くの民家を残すことに繋がれば幸いです。 どうぞ、よろしくお願いします。
タイトルは 「農家の再生」 。 サブタイトルは 「季節と遊ぶ家」 。
二0一一年 旧三月 朔 スタートです。 完成予定 なし 。
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