今日は雨の中、信州へ。 築100年を経過した蔵(土蔵)を、再生して暮らしておられる蔵人の家を見学に。
1つ目の家は、10年前に移築された家。 写真は2Fの様子。手前の部屋は子供たちのたまり場(?)、奥の部屋は子供部屋で隅には薪ストーブの煙突、天井には堂々とした小屋組み。 床は檜の板張り、天井には2重に断熱材(ウール?)、壁は竹小舞から土塗りまでご自分で作業されたとのことで、とても味のある仕上がりでした、もちろん土壁には断熱材は入っていません。窓はペアガラス。 めっちゃビックらこいたことが、暖房機器が薪ストーブしかないこと、ここは長野県松本市・・・。 天井以外は木と土、延床面積は約38坪。10年暮らしていらっしゃるので、思っている以上に天井の断熱材を入れれば、土壁でも冬は大丈夫なんですね。 たしかに家の中は木や土のぬくもりを感じましたし、また今日は大雨でしたが家の中はカラッとしていた。土壁や無垢の木の調湿性能・断熱性能は、やっぱり良いと感じました。 書いていいものかわかりませんが、予算は2000万円とのこと。再生前の蔵と解体費と輸送費が300万、基礎と建て方と屋根(ガルバ)で1000万弱、他はサッシや設備や木工事・・・、土壁の原料(土・竹)も再利用されたとのこと。
ご夫婦にそれぞれお話をお聞きした所、ご主人はほぼやりたいことができて大満足とのこと。 10年経過した現在も家づくりは進行中で、家族の成長や暮らしに合わせて、いろいろ考えて家を造り続けて行くことが楽しいとお話していました。 奥さまの不満は一つ、収納が少ないこと。 それ以外は不満もなく、近所の子供たちが集まるこの家で良かったとお話されていました。 もし予算がもう少しあれば、何をしましたかとお聞きすると、お二人とも口をそろえて「職人の技術」にお金をかけたかったとのお答えでした。
2つ目の家は、3年前に現地再生された蔵。 写真は1Fの様子。 蔵の扉から入って正面にテーブル(作業机)、右奥がキッチン、右手前には2Fに上がる階段箪笥、左奥がトイレ・バスルーム、見えないですが左に赤のアンコール。 時間を感じさせる無垢の木々、窓は小さく板張りの壁に囲まれて、照明は蛍光灯は一つもなく全て目線より下に白熱電球、明らかに意識して計画された空間です。 この蔵は再生するにあたって、やはり基礎が問題だったようで、土壁をとらずに蔵を持ち上げて基礎をやり直したそうです。基礎工事は、おそらく坪20万円かかったとして、600万円ぐらいだと思います。ユニットバス以外に既製品はほとんどなく、窓枠も家具も造り付け、細かい所までこだわった跡が見られました。
日本の古い蔵で、世界中の古いものに囲まれて暮らすオーナー、今後の改装計画を楽しそうにお話されていました。
今回のこの企画では、遠い所からも多くの人が集まり、特に現在使用していない蔵を何とか残したいとお考えの方が多かったです。 私も、寒い地方の民家を見学させてもらえて、いろんな立場の方のお話をうかがえて、大変参考になりました。 私の地域にも蔵はまだ残っていますが、使われているものは少なく、壊されるか朽ち果てるのを待っている蔵がほとんどです。日本の田舎には、蔵のある風景を残していきたいものです。昔のように利用できなくても、今の建物とは比べようのない100年200年と持つ蔵を、何かに利用して残す方法を考え、お手伝い出来ればと思いました。以上。
小学校の頃に出会った、佐藤雅子さんの「わたしの保存食ノート」を手にして以来、お蔵は憧れの憧れでした。
セントラルヒーティングの(めったにつけませんが)家では保存食作りが難しいんです。お蔵をお持ちの皆さん、壊しちゃったりしないで是非とも、使って下さい。
投稿情報: emachan | 2011-04-24 15:05
保存食は実にいいですね、一度読んでやってみます。
実はうちも倉庫を作る為、私が子供の頃に蔵は壊しました。久しぶりにアルバムを見ると、2階建ての大壁の蔵が堂々と立っており、蔵の庇の下で桶に水を張って子供の私が水遊びしてました。夏涼しく冬温かい木と土の蔵が、夏は暑く冬は寒い鉄のクズに変わり果てました。
壊すのではなく、移築をしたり、少し工夫をして倉庫に使っておけばと悔やまれます・・・。
保存食のように生活の一部に蔵が入ってこれば、蔵を残すことに繋がるかもしれませんね。
投稿情報: 水野友洋 | 2011-04-26 11:02