最近、岐阜県の木造住宅耐震診断事業に関わり、診断士として町内の木造住宅のお宅に数件伺い、耐震診断を行ってきました。
診断はあるソフトを使用して行います。まず、現況の平面図をおこして床下・天井裏を確認、部屋の中をうろうろ、外をうろうろして、家に帰ってプログラムに従いデータを入力すると、ソフトが数値的に計算するものなのです。ソフトが計算するので、私の感覚からはかなり乖離する診断結果が出た住宅が多かったです。基本的には、大地震が発生したときに、人が逃げる時間を確保する「人命救助」を目的としており、当然この結果がすべてではありません。
今回診断した住宅の中で印象に残った2つの家がありました。ともに大正から昭和初期にかけて建てられた家で、外壁は鉄板で覆われていましたが、外見からは想像もできないほどしっかりした鴨居造りの家で、100年弱の年月が経過しても、ほとんど狂いもなく堂々とした構えの家でした。材料も今では、考えられないほど良質な素材が使われており、一歩足を土間に踏み入れた瞬間に、凛とした空気をまとっていて、框を超えて座敷に上がると床には一本の椿が飾られ、まるで昔の空気がそのままが流れているようで、まさに家は生き続けていると感じました。2軒とも家主はお年寄りで、先代が建てられたこの家を、必死で守られている姿に、頭が下がる思いでした。
「この家を残したい・・・」と強く強く思いました。
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