7月22日(ブルームバーグ):日本銀行前総裁の福井俊彦氏は22日午後、都内で講演し、日本が長期にわたりデフレ的な状況にある原因として成長期待の低さや人口の減少、財政赤字の拡大を挙げた上で、デフレを解消するのは「なかなか難しい問題」であり、時間をかけて生産性向上と財政再建の両立を続けていく必要があると述べた。
福井氏はデフレ的な状況が長期間続いていることについて「日本の経済について、先行きの成長をどれくらい期待できるかという、先行きの成長期待という問題が深くかかわっている」と指摘。人々が「日本経済について、低い成長期待を認識していることの反映という面が強いのではないか」と述べた。
総合的な物価指標であるGDPデフレーターは1990年代半ばから下落を続けている。福井氏は「日本の人口動態と照らし合わせてみると、ちょうどそのころから日本の労働人口は減少が始まっている」と指摘。「人口が一定のペースで減り続ける経済で、将来に向かって高い期待成長力を持つことの難しさが表れている」と述べた。
福井氏は「今程度の生産性の上がり方では、人口減少のマイナスの影響を相殺することが精一杯だ。それ以上に生産性を上げていく必要がある」と述べた。
財政赤字も成長期待をそぐ
さらに、「もう1つは財政面の問題がある。公的部門は自らキャッシュフローを生み出して借金を返済する力はないので、民間部門が将来生み出すキャッシュフローをそちらに回すことによって債務残高を減らしていく」と指摘。「民間部門は将来投資に回せるはずのキャッシュフローをそちらに取られてしまうので、これまた将来の成長期待をそぐ要因になってしまう」と述べた。
福井氏はその上で「単にデフレだからと言って、ひと吹きでこれを消せる方法があるかと言えば、これはなかなか難しい問題であって、かなり時間をかけて、絶えず生産性向上と財政再建の両立を長く持ち続けながら目標を達成していく必要性がある」と述べた。
福井氏は世界経済の先行きについて「相当不確実性を伴っている」と指摘。「先進国の経済がどうなるかが非常に重要」とした上で、「欧米を中心に、なお設備、雇用、債務の過剰が残っており、これらの処理には相当の負担と時間がかかる」と語った。
このおじさんの目には、未来の日本がどう映ってるのでしょうか・・・。
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